校長ブログ(令和2年度)

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令和2年度

令和2年度 中学校卒業式式辞 【R3.3.12(金)】

式   辞

 桜のつぼみが膨らみ、早春の息吹が感じられる今日の佳き日、多くの保護者の皆様の御臨席を賜り、岡山県立岡山操山中学校令和二年度卒業証書授与式をこのように厳粛に挙行できますことは、誠に大きな喜びであり、教職員一同、心から感謝申し上げます。
 ただいま卒業証書を授与いたしました百二十名の卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。皆さんは、平成三十年四月、第十七期生として入学され、岡山操山中学校での三年間、高い志を持って、日々の授業だけでなく、学校行事や部活動、松柏祭のクラス合唱や応援など、全力で取り組んでくれたと思います。しかし、今年度はコロナ禍の中、約2ヶ月の休業があり、最高学年となった今年こそ、とみんな楽しみにしていた多くの学校行事が中止、あるいは規模を縮小しての実施となりました。そういった状況の中でも皆さんは、明るく前向きに授業や学校行事、部活動にその時その瞬間を大切にし、全力を尽くしてくれました。
 また、本校は未来の岡山や世界に貢献するグローバル・リーダーの育成に取り組んでいますが、皆さんは「未来航路プロジェクト」の一環として、昨年度は京都研修で大学や企業などを訪問し指導や助言を仰ぎ、今年度は、東京研修は実施できませんでしたが、オンラインやメールなどを使って大学や企業の方から指導や助言をいただきながら、卒業論文作成を行うなど、新たな探究方法でレベルの高い学習に取り組んできました。さらに、「SOZAN国際塾」においては、様々なボランティア活動や校外での各種のコンテストへの挑戦などに取り組み、数々の成果を挙げてきました。
 「未来航路」など本校ならではの学びで身に付けたものの見方や考え方、課題解決能力は、不透明さを増すこれからの時代を切り拓いていく皆さんにとって大きな推進力となってくれることでしょう。
 これから新たなステージに向かう皆さんに、私から激励の言葉を贈ります。それは、有名な発明家トーマス・エジソンの「私は失敗したのではない。うまくいかない一万通りの方法を見つけることに成功したのだ。」という言葉です。皆さんは中学校三年間、多くのことにチャレンジし、うまくいかない経験もしてきたと思います。しかし、それは高い壁に果敢にチャレンジした証だと言えます。うまくいかない数々の経験は皆さんを大きく成長させてくれたのではないでしょうか。しかし、皆さんのチャレンジが成功したか、失敗したかは実はまだまだ結論は出ていないのです。もし、途中であきらめてしまえば、うまくいかなかった経験は失敗となりますが、あきらめずにさらにチャレンジしていれば、少しずつ成功に近づいているステップの一つになります。中学校でうまくいかなかったことに、高校という次のステージでチャレンジしてください。うまくいくか、いかないかではなく、チャレンジするかしないかこのことが最も大切なことだと、エジソンは教えてくれているのだと思います。そして、皆さんがチャレンジスピリットを持ち続けること、このことが岡山操山中学校、三年間の学びの核になる部分だと思います。この三年間で身につけたチャレンジスピリットを、高校という次のステージで思いっきり発揮してください。エジソンの言葉を借りれば「失敗」という言葉は、自分があきらめるまでは、成長のステップとなるのですから。 
 保護者の皆様、お子様の御卒業、誠におめでとうございます。栄えある卒業の日を迎えられたお子様の姿に、皆様の喜びもひとしおのことと拝察いたします。また、今日に至るまで本校教育に対して変わらない御支援と御理解をいただきましたことに、教職員を代表し、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
卒業生の皆さんとの名残は尽きませんが、本校を巣立っていく百二十名一人一人が自分らしく成長してくれることを期待し、式辞といたします。

令和三年三月十二日

岡山県立岡山操山中学校

校長 武内 洋二

令和2年度 3学期始業式 【R3.1.8(金)】

 皆さん、明けましておめでとうございます。
 高校3年生の皆さんは、来週末に大学入学共通テストを迎えます。2学期の終業式でも触れましたが、「やりきった」と言えるよう自分なりのベストを尽くしてほしいと思います。
 中学生の皆さんや高校1・2年生の皆さんにとっても、3学期は1年間の締めくくりの学期です。今年度を素晴らしい1年にすることができるよう、一日一日を大切に過ごしてほしいと思います。
 今日は、新しい年度の始まりに皆さんに「覚悟」という言葉について話をしたいと思います。「覚悟」という言葉はもともと仏教用語で辞書では「迷いを去り、道理をさとること」「予測される悪い事態や結果に対して、それを受け止める心構えをすること」「あきらめること、観念すること」とあります。よくプロ野球選手が、「今年は3割30本を目指します。」など自分の目標をマスコミを通じて世間に公表しますが、これも「覚悟」を決める一つの方法だと思います。「覚悟」は当然自分で決めるものだし、行動を伴うものです。人に決められた目標ならできなくても批判されることはないと思います。しかし、自分が決め、自分から公表した目標が達成できなければ、「彼は口だけだ」と批判を浴びることもあるかもしれません。
 それでも、あえて自分の目標を公言するのは、「覚悟」を決めるためだと思います。2年前になりますが、イチロー選手の引退会見で記者から「50歳まで現役でいると言っていたが・・・」と少し意地悪な質問をされた時にイチロー選手は「それは実現できなかったけれど、言葉にすることが実現する近道でしょ」と答えていました。批判されるというリスクを負うかもしれない、しかし、それを公表することで、その目標に対してぶれない意思と目標に見合った行動をするとういう「覚悟」が生まれるのだと思います。
 皆さんも小さなことでも良いと思います。自分の目標を自分で定め、誰かに宣言してみてください。人に宣言することで、その目標に見合った努力ができるようになります。結果として目標に届かなくても、その努力を周りの人は必ず見ていてくれます。イチロー選手に「50歳まで現役でいると言っていたくせに、できなかったじゃないか!」と批判する人はいないと思います。それはイチロー選手の実績だけでなく、日頃の努力を見ているからだと思います。そして皆もその努力によって階段を上がることができます。一段上がれば次の一段が見えてきます。頂上も一段分近づいたことになります。何もしなければ、次の一段は見えてきません。
 年の始めに覚悟を決めてこの1年間自分で決めた何かを成し遂げてほしいと思います。

令和2年度 2学期終業式 【R2.12.24(木)】

 令和2年もあと1週間ほどで終わります。今年1年を振り返ると、様々なことが例年通りにできない、本当に大変な1年だったと思います。皆さんが活躍する場が狭められ、とても残念ですが、そんな中でも工夫をしてできる限りのことをしてくれました。今も大変な状況は変わりません。感染症対策をしっかり行いながら、できることや方法を考えながら前向きに生活できたらと思います。
 さて、去る10月10日(土)に岡山操山中学校の学校説明会を開催しました。その説明会のあとで、近隣の小学校の先生から、「操山中・高の生徒は良く挨拶をしてくれるし、小学生に道を空けてくれたり、本当によく気がつく素晴らしい生徒さんですね。機会があったら褒めてあげてください。」と言われました。皆さんが小学生に思いやりを持って接してくれていることがとても嬉しく思いました。しかし、残念ながら「道一杯に広がって、邪魔でしかたない。きちんと指導して欲しい。」というお叱りの電話はかなりの頻度で学校にかかってきます。
 褒められるような優しい行動をしている生徒も、叱られるような行動をしている生徒も操山の生徒です。ひょっとしたら褒められた生徒としかられた生徒は同じ生徒かもしれません。
 このことは一つの例ですが、皆さんは、良いところと悪いところ、できていることとできていないこと、見えているものと、見えていないもの、分かっていることと分かっていないことなど複数の面を持っています。
 私たちは、自分のできることだけを見て自分はできるんだと勘違いしたり、自分のできないことだけを見て自分はできないだめな人間だと思ったりしてしまいがちです。しかし、これは正しい自己認識ではないと思います。いろんな視点から自分を客観的に見て、正しい自己認識をしてほしいと思います。正しい自己認識の上に自分の現在地を確認することで、自分の課題が見えてくるのではないかと思います。
 大阪大学元総長の鷲田清一氏は大阪大学の卒業式で『自分が何を知っていて何を知らないか、自分に何ができて何ができないか、それを見通せていることが「教養」と言うものにほかなりません。』と言われています。
 また、『「教養」というものは、「複眼(違う方向から物事を見る目)を持つ」ことで身についてゆきます。異文化に学ぶことも歴史に学ぶことも、いまここではない別の場所からいまここを見つめなおすことにつながります。』とも言われています。
 先人や友人、異文化や歴史、書物や芸術作品など様々なものに触れ・学び、「教養」を高めることで、自分が何を知っていて何を知らないのか、何ができて何ができないのか、が少しずつ客観的に見えるようになってくるのだと思います。また、「教養」がなければ、「自分が何を知っていて何を知らないか、自分に何ができて何ができないかを分かっていなければ」学力はいくら高くても使い道がありません。是非、違う方向から物事を見る目を持ち、「教養」を高めていく努力をしてほしいと思います。
 式辞の終わりに、高校3年生の皆さんにエールを送りたいと思います。皆さんは今、自分の夢や目標を実現できるよう一生懸命に頑張っていると思います。今の努力は結果はどうあれ、必ず自分の将来にプラスになります。「やりきった」と言えれば必ず次のステージに繋がります。23日後「やりきった」と、清々しい気持ちで共通テストに臨んでください。
 それでは、皆さんが令和3年を自分自身の手で素晴らしい年にしてくれることを期待して、式辞を終わります。

令和2年度 2学期始業式 【R2.8.17(月)】

 皆さん、こんにちは。短い夏休みが終わり、今日から2学期が始まります。1学期の終業式でも言いましたが、1日1日を大切にして、この2学期を「自分自身で成長できた。」と言えるようにして欲しいと思います。そこで今日は、「目的」と「目標」について話をしようと思います。
 「目的」と「目標」はよく似た言葉ですが、「目的」には実現しようとして目指すもの、GOAL、「~のため」という意味があり、「目標」には最終的なGOALに向けて、その間に設定される指標、目印という意味があります。
 「目的」は長期的なもの、「目標」は短期的なものとも言えます。「目的」と「目標」を山にたとえれば、「目的」という頂上があり、それに到達するまでの道しるべが「目標」です。本来なら、「目的」無くして、「目標」はあり得ません。しかし、意外と「目的」を意識せずに、何らかの「目標」を持って、日々の生活を送っている人は多いのではないかと思います。
 具体的な話をすると、「あの大学に合格する」という「目標」を立てることです。なぜその大学に合格したいのか「何のために」という目的がはっきりしていなくても、「あの大学に合格する」という「目標」を立てることはできます。しかし、それは例えば「人の役に立つ仕事をする」という「目的」を持った「目標」と比べてモチベーションは大きく変わってきます。
 「星の王子様」の作者として有名なフランスの作家サン=テグデュペリも「計画性のない目標は単なる願い事でしかない」と言っています。「人の役に立つ仕事をしたい」という「目的」を見つけられず、ただ「あの大学に合格する」と思うだけでは、「目標」を実現することは難しいのではないかと思います。「人の役に立つ仕事をしたい」だから「この大学でこんな勉強をする」などの目標をたて、一つ一つ達成していくことでゴールに近づいて行くことができるのだと思います。また、最終的なGOALである目的を早く見つけ、その目標を早く設定できれば、それだけ達成の可能性は高くなります。
 100日分の努力を、50日ですれば、2倍大変です。20日でしようと思えば当然5倍の努力が必要になります。同じGOALでも、取り組む日数によっては、実現の可能性は大きく変わっていきます。
 中学生・高校生の時期はいろんなことに好奇心を持ち、部活や学習に精一杯、打ち込むことで、自分自身の「目的」=GOALが見えてくるのではないかと思います。
 皆さんが、素敵な2学期にしてくれることを期待しています。

令和2年度 1学期終業式 【R2.8.7(金)】

 皆さん、こんにちは。今日で1学期が終わります。今年度は4月20日から新型コロナウイルス感染症対策のため6週間が休校となり、例年より3週間遅れの終業式です。皆さんも不安な日々を過ごしているのではないかと思います。しかし、学校で友達と会えること、みんなと一緒に授業を受けられること、部活動ができることのありがたさも、この6週間の非日常生活があればこそ再認識できたのではないかと思います。きっと友達と過ごす時間や授業、部活動などを今まで以上に大切にし、充実したものにしてくれていると思います。
 今日は、皆さんに、私が尊敬するある芸術家の言葉を紹介したいと思います。
 その芸術家はピカソです。ピカソといえば名前はもちろん作品も知らない人はほとんどいないほど有名で、20世紀を代表する芸術家です。「泣く女」「ゲルニカ」などの作品が有名で美術の教科書にも必ずと言って良いほど掲載されています。子供たちからは「何を描いているのか分からない」「誰でも描けそうだ」などの感想を良く耳にします。決してプラスの評価ばかりではなく、このようなイメージを持っている人は多いようです。確かに「泣く女」「ゲルニカ」は代表作として知られていますが、それはピカソ芸術の一部に過ぎず、ピカソは絵画だけでなく、彫刻、版画、陶芸や舞台芸術など幅広く制作をしています。絵画に於いては「青の時代」「バラ色の時代」「キュビズム」「新古典主義」「シュールレアリスム」など多様なスタイルに挑戦し2万点にもおよぶ作品を残しています。幼少期からとても高い描写力を持ち、高校生くらいの年代には他の著名な作家の描写力にひけを取らないほどでした。25才頃からの「バラ色の時代」の作品は当時から非常に評価が高く、富と名声を得ていきますが、「私はものを見たままに描くのではなく、考えるままに描く」とか「明日描く絵が一番素晴らしい」という言葉にあるように、現状の富と名声に甘んじることなく、表現のスタイルをどんどん変えていきました。ピカソは多くの印象的で示唆に富む言葉を残していますが、私が一番感銘を受けた言葉は死の直前91歳の人生を終える直前に最後の自画像を描いた時の「今日絵を描いた。何か掴んだ気がする。今までとは違うものだ。」という言葉です。死の直前にこの言葉が残せる向上心、そしてバイタリティーには本当に敬服させられます。この向上心とバイタリティーこそが彼の才能そのものだったと思います。
 では、「向上心」を常に持ち続けるためにはどうしたら良いのでしょうか。とても難しいことだと思います。しかし、その答えは、逆に向上心が無い人の特徴にヒントがあると思います。
 「向上心」がない人の特徴として、「他力本願」、「責任転嫁する」、「無関心・無頓着」、「マイナス思考」、「視野が狭い」、「変化を恐れている」というキーワードがあります。思い当たるキーワードが自分に当てはまる人もいるかもしれません。その思い当たるキーワードに気を付けることが向上心を身につける近道になってくれるように思います。
 では、短い夏休みですが、自分自身の健康や周りの人の健康にも十分注意して、少しでも、一つのことでも良いので、自分自身で成長できたと思えるような夏休みにしてください。

令和2年度 1学期始業式 【R2.4.8(水)】

 皆さん、こんにちは。
 令和2年度が始まりました。先ほどの入学式では、中学校に120名、高等学校に281名の新しい仲間が加わりました。新しくできた先輩や後輩、同じクラスとなった仲間やお世話になる先生方との出会いを大切にして、人との関わりの中で自分を高めてほしいと思います。
 昨年度末は新型コロナウイルス感染症対策として、全国のほとんどの小学校・中学校・高等学校が3月から休校となり、みなさんも不完全燃焼の年度末になったと思います。今年度は新型コロナウイルス感染症に注意を払いながらの学校再開になりますが、お互いに気遣いながらも学習や学校行事、そして部活動等に、力を発揮して欲しいと思います。
 新年度になり、新入生の皆さんはもちろん在校生の皆さんも大きく環境が変わったのではないかと思います。そして今年度は、こんなことにチャレンジしようという新たな決意を持ってくれていると思います。しかし、毎年新たな気持ちで頑張ろうとしても、日が経つうちに、良くも悪くも新しい環境に慣れ、以前とあまり変われなかったという経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか?
 そう、なかなか「人は急には変われない」んです。例えば、毎日30分しか勉強をしていない人が、突然4時間勉強をするようにはなりません。大体は三日坊主で終わります。
 変わるためには3つの条件が必要になるのではないかと私は思います。
 1つ目は「目標」です。当然ですが、自分はこうなりたい。という目標があることが必要最低の条件です。
 二つ目は「環境」です。自分はこうなりたい。という目標が持てたとしても、周りの環境が変わらなければ、自分の弱い心に負けて、三日坊主になってしまいます。具体的な例を挙げると「自分の部屋」誘惑があまりに多い部屋ではなかなか集中できません。また、「スマホ」など何時でもLINEがきたり返信していませんか?中でも一番大切な「環境」は家族や友人など自分の周りの人です。家族や友人に自分はこうなりたいから、こう頑張るんだと宣言して協力してもらうことは自分を変える一番の近道かもしれません。自分を言い訳ができないように追い込むのです。「環境」を変えることはとても有効です。
 最後の三つ目は「きっかけ」です。新年迎えて新たな気持ちになったり、学年が変わって新たな気持ちになったり、人は何かの節目ごとに自然と新たな気持ちになれます。そういった節目を「きっかけ」にすることも有効です。
 そしてこの「きっかけ」は今なのではないでしょうか?
 「自分はこうなりたいという目標」を定め、大きく環境が変わった今、その目標を達成できる「環境」をつくることで自分が目指す自分に近づいてほしいと思います。今年度、皆さん一人一人がなりたい自分になれることを期待して式辞とします。

令和2年度 入学式式辞 【R2.4.8(水)】

式     辞

 周囲の木々に若い芽の膨らみと命の躍動を感じ、本格的な春の到来を覚える今日の佳き日、保護者の皆様方の御臨席を賜り、岡山県立岡山操山中学校令和二年度入学式を挙行できますことは、本校教職員にとりまして誠に大きな喜びであり、厚く御礼申し上げます。
 ただいま、入学を許可され、晴れて岡山操山中学校の生徒となった第十九期生百二十名の新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。教職員、在校生一同皆さんの入学を祝福し、心から歓迎いたします。
 皆さんが入学した岡山操山中学校は、岡山操山高校と共に中高一貫教育を行う県立中学校として、平成十四年四月に開校しました。また、皆さんが三年後に進学する岡山操山高校は、明治三十三年開校の岡山県高等女学校(旧制一女)と大正十年開校の岡山県第二岡山中学校(旧制二中)を母体とし、昨年度、創立百二十周年を迎えた県内屈指の伝統校です。
 本校は、生徒を主体とした活気溢れる授業を柱に、「イングリッシュサマーキャンプ」など多彩で特色ある教育活動に日々取り組むとともに、「未来航路プロジェクト」や「SOZAN国際塾」など、これまでの先進的な取組をさらに発展・進化させながら「高い志」を持った生徒を育成しています。
 さらに本校は、旧制一女からは「和して流れず」、旧制二中からは「松柏」の精神を受け継ぎ、知・徳・体の調和の取れた教育を実践しています。「和して流れず」とは、「人や社会との調和を大切にしながらも、周囲に流されずに自分の信念を持って生きる」ことを意味し、「松柏」の精神とは、「冬になっても緑の葉を失わない松や柏のように、優れた精神を持つ人は困難な状況の中にあってその真価が明らかになる」という、強く正しく生きることの大切さを表した言葉で、これらは今も校是として本校の教育に息づいています。
 岡山操山の目的は、百二十年に及ぶ建学の精神を受け継ぎながら、高い志や確かな学力、豊かな人間性を身に付け、郷土岡山や日本、そして世界をよりよいものに変えていく「真のリーダー」を育てることにあります。だからこそ、生徒の皆さん一人一人がこれから何を目標に情熱を持って学んでいくのか、皆さんがその目標を達成するためにはどのような進路が一番よいかなどについて、中・高の6年間を通してしっかりと考えてください。
 本日、入学の日を迎えた新入生の皆さんは、そんな本校での生活に大きな期待を抱くとともに、不安も感じていることでしょう。しかし、本校の先生方は常に温かい眼差しときめ細やかな配慮をもって皆さんに接してくださり、先輩たちも真面目で前向きな生徒達ばかりです。どうか安心して、中学校生活の第一歩を踏み出してください。
 ここで、これからの学校生活がここに集った百二十名全員にとって素晴らしい価値あるものになるよう、皆さんに三つのことをお願いします。  一つめは、いろいろな人との出会いを大切にしてほしいということです。本校で出合うたくさんの友達や先輩方と仲良くし、お互いを大切にするとともに、切磋琢磨しながら高め合う努力を続けてください。また、どんなときも皆さんを温かく見守り励ましてくださっている保護者の方や先生方への感謝の気持ちを絶対に忘れないでください。
 二つめは、周囲に流されることなく、自分自身で考え、判断し、表現することを心掛けてください。これからは、どの授業を選ぶか、どの部活動に入るかなど、自分で選択する機会が増えます。また、「未来航路プロジェクト」では、探究する課題について、自ら考え研究を深めることが多くなります。本校での学習を通して、自分で考えて行動し、自分の意見や考えをしっかりと相手に伝えることのできる人間になってください。
 三つめは、自分自身と向き合い、困難に打ち勝つ強い気持ちを心の中に持ってください。これからの中学校生活では、心躍る楽しいことばかりでなく、自分の弱さや苦手なものを自覚する場面があるかもしれません。でも、そんな時こそ、自分の限界を乗り越え、大きく成長できるチャンスです。粘り強く、自分の目標に向かって挑戦を続けてください。
 新入生の皆さんが、これら三つのことを心に留めながら、皆さんが持っている素晴らしい力や可能性をさらに伸ばし、「大樹のごとく」たくましく育っていくことを期待しています。
 保護者の皆様、お子様の御入学、誠におめでとうございます。
 お子様は今、意欲に溢れ、決意も新たに新しい生活を迎えておられると思います。同時に、新しい学校生活や友人関係などに様々な不安も感じておられると思います。保護者の皆様には、「自立した大人」への階段を上り始めたお子様の揺れ動く思いを受け止め、私たち教職員とも連携を密にしていただきながら、お子様の成長を信じ、見守っていただきたいと思います。私たち教職員も心を一つにして、お子様一人一人の成長と自己実現に向けて、精一杯御指導・御支援させていただく所存です。どうか、本校教育に対しまして、格別の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げ、式辞といたします。

令和二年四月八日

岡山県立岡山操山中学校

校長 武内 洋二